『初心者のみなさんへ -森田理論の学び方-』

この冊子は、初心者のみなさんに、森田理論や生活の発見会と集談会のことを、よく知っていただくために作成いたしました。

この冊子を活用して、生活の発見会に参加し、集談会で森田理論を体得されることを願っています。

生活の発見会において森田理論を学び、それを日常生活の中で体得していくことにより、あなたの症状は軽減され、楽に生きられるようになります。
さらに、森田理論を学び続けることは、あなたがあなたらしい、よりよい人生を送るための羅針盤になることでしょう。

集談会では、どのようにして神経症が治るのでしょうか

発見会の活動は、森田療法の理論(以下、森田理論)の学習活動を 「縦軸」に、神経症の仲間同士による相互援助活動を「よこ軸」に例えることができます。
この、縦軸とよこ軸の織りなす活動を通して、神経質性格を活かす生き方に気づき、神経症のとらわれから解放され、自分らしく生きることを目指しています。

森田理論を知識として知るだけでも、楽になれます。
学びのスタートは、森田理論を知識として知ることです。これは、それほど難しいことではありません。
森田関係の本を一冊、熟読するだけでも、森田理論の要点は、だいたい理解できると思います。

森田理論を知ることで、まず、あなたは自分の苦しみの原因や努力方向の誤りを知ることができます。
私達は、自分が異常な人間で、このような症状で苦しんでいるのは自分だけだと思いがちです。
このような思い込みが、あなたを孤独にし、将来を悲観させ、あなたの苦しみを大きくしているのだと思います。

森田理論を体得するために集談会があります

ただ、森田理論を知識として知ることと、それを自分のものにして体得することはまったくちがいます。
いくら森田理論を知っても、体得しなければ、ある程度楽になっただけに過ぎません。
今までの考え方、生き方を変えることはできませんし、抱えている苦しみはまだ大きなままです。
 
例えば、私達は自分が感じる不安や人に対する恐れ、妬みや嫌悪感などの自分の感情によって、自分を否定してきたのではないでしょうか。
このような感情を持ってしまう自分はダメな人間だと、自分の感情を変えようと必死に努力してきたのではないでしょうか。
森田理論では、感情は自然現象であって、意志の力でコントロールできないと教えています。
意志の力で、コントロールできないのですから、私達は自分の感情に責任を持つ必要はありません。
どんな感情を持っても、そのことで自分を責めたり、自分を否定しなくてもよいのです。

集談会では、誰にも話せなかった、誰にもわかってもらえなかったあなたの苦しみを、思う存分話すことができることで癒しを実感することができます。
 自分の本音を語ることで、自分のことが客観視でき、自分のことがよく見えるようになってきます。

 先輩の体験談は、森田理論をより深く理解するヒントになるでしょう。
 また、先輩の元気な姿を目にすることで、森田理論を学び続ける意欲が生まれてきます。

仲間がいれば、辛いことも乗り越えやすくなります。

集談会の一番のメリットがここにあります

長年の考え方、感じ方の癖に対して知識はあまりにも無力です。
この無力な知識を、体得に高めることがどうしても必要なのですが、一人で、それをすることは非常に困難です。
あなたは、生活の発見会から森田理論の知識を体得に高めるために、さまざまな援助を受けることができます。
それが、あなたが生活の発見会から得られる、一番大きなメリットだと思います。

誰にも話せなかった、誰にもわかってもらえなかったあなたの苦しみを、あなたは集談会で思う存分話すことができます。

また、多くの先輩の体験や考え方を、あなたは知ることができます。

このことが、実は非常に大きな意味を持っています。
自分の本音を語ることで、自分のことが客観視でき、自分のことがよく見えるよう になります。
話すことで癒される部分も多いのです。

先輩の体験や考え方を知ることで、森田理論を、より深く理解することができます。
また、先輩の後ろ姿は、自分の進んでいく道を探す大きな手がかりになりますし、森田理論を学び続ける動機づけにもなります。

一人ではできないことも仲間がいればできるのです。

集談会の仲間は貴重な存在です

仲間がいることで孤独感が癒され、自分だけでは気づけなかったことに気づくことができ、森田理論の学びが深まっていくと思います。
仲間の存在が自分を映す鏡になると思いますし、同じ苦しみを背負いながら、精一杯生きている仲間の姿は大きな励みになると思います。

仲間がいるので、辛いことも乗り越えられると思います。
また、仲間の励ましが背中を押してくれて、なかなか踏み出せなかった一歩を踏み出す力にもなると思います。
このように集談会への参加を続けることと、集談会で学んだことを日常生活で実践することで、あなたは、森田理論を知識から体得へと少しずつ高めていくことができます。

世話人になることで回復が早まります

世話役をやってみましょう。
集談会へ何回か続けて出席したら、世話役になることをお勧めします。
世話役になると集談会へ早く溶け込むことができます。

集談会の中でなにかの役割をすることは、自分の苦しみにのみ向いていた目を外へ向けることにもなります。
また集談会へ出席する動機づけにもなります。
多くの場合、集談会になれたころ先輩会員から世話役への就任依頼があります。

世話役はすぐに、あるいは必ずやらなければいけないものではありません。

やりたい、やった方が良いと感じた時に世話役になって下さい。

『症状が治ったから人生観が変わったのではなく、人生観が変わったから症状が治った』ということが言われます。
私達の症状は病気ではなく、考え方、生き方、人生観に問題があって起こってきたものですから、それらを変えることで症状が治ります。
そして、考え方、生き方、人生観が変われば症状が治るだけでなく、生き生きとした豊かな人生を送れるようになります。

森田理論の本当の目的は、この生き生きした豊かな人生を送れるようになることです。