しまった。まる子の予約、今日だったっけ?
時計を見ると、午後3時半を少し回ったところ。ああ、よかった、時間的には大丈夫。まる子はというと、いつも通り穏やかな顔で玄関先にちょこんと座っている。

亡くなった里親の子たちは、トリミングの日になると気配を察してソワソワしたものだけど、まる子は今のところ気にしている様子もなく、まるで「今日はおでかけ?」くらいの軽さで首をかしげる。

月に一度のペットサロン。シャンプー、カット、爪切り、肛門腺絞りに耳掃除まで、まる子の健康と清潔を保つ大事なケアだ。トリマーさんたちは、まるで保育士さんみたいにやさしくて、まる子のようなちょっと臆病な子にも、ちゃんと目線を合わせて接してくれる。プロってこういう人たちのことで、こっちまでうれしくなる。

ところで、トリミングの料金ってご存じですか?
お店や地域によって違いはあるけれど、だいたいこんな感じらしい。

  • 小型犬:3,000〜5,000円
  • 中型犬:5,000〜10,000円
  • 大型犬:8,000〜15,000円

ポメラニアンは本来小型犬だけど、うちのまる子はちょっと大きめ。なので、いつも中型犬料金です。これがなかなか侮れない出費だけれど、帰ってきたあとのふわふわな毛並みや、あのシャンプーの香りをかぐと、「うん、いい日だったね」とこちらまで満足してしまう。

ポメラニアンは、オーバーコートとアンダーコートの二重構造、いわゆる「ダブルコート」。まるで羽毛布団みたいに、外は丈夫で中はふんわり。この被毛のおかげで寒暖差に対応できるわけだけど、実は一定以上には伸びないから、必ずしもカットは必要ない。けれど、お腹やお尻まわり、足の裏の毛を整えておくと、清潔に保てるし、滑り防止にもなる。ポメは関節が弱い子も多いから、転ばぬ先のカットが大切となる。

最近人気の「柴犬カット」や「たぬきカット」も気になるけど、被毛の生え変わりに時間がかかる場合があるっていうし、毛質が変わることもあるらしい。あんまり短くしすぎると、夏の日差しが直撃して皮膚トラブルの原因にもなるから、暑い季節は、見た目よりも機能を優先したい。

抜け毛? 
換毛期になると、ブラシから羽毛のような毛がこんもり。アンダーコートが季節ごとに生え変わるから、まるで自然のリズムが、まる子の体にも刻まれているみたいだ。

今日の予約は午後4時からだった。
3時間後、まる子が元気に帰ってきた。

ふわっふわの羽毛のような毛並みに、ほんのりとシャンプーの香り。おかえり、まる子。

今日もよくがんばったね。