年齢を重ねても、あなたの一歩には意味がある
年齢を重ねると、「昔ほど体が動かない」「疲れが抜けにくい」と感じることが増えるかもしれません。筋肉量や柔軟性が落ちたり、関節や骨に不安を感じたり。代謝もゆるやかになり、「がんばっているのに成果が見えない」と気持ちが折れそうになる日もあるでしょう。
でも、そこであきらめてしまうには、あなたが積み重ねてきた時間と努力がもったいないと思いませんか?
体は変わっても、「挑戦する心」は年齢に関係なく、何度でも蘇ります。少しのストレッチから、朝のウォーキングから、また一歩を踏み出すことができるんです。マラソンのような大きな目標じゃなくてもいい。まずは体を、そして心を、やさしく目覚めさせてあげることが大切です。
例えば、走ることがしんどいなら、まずは歩くことから。風を感じながら、季節の変化に気づきながら歩く。そんな時間が、またあなたの中の“走りたい気持ち”を育ててくれます。
そして、何より忘れないでほしいのは―― あなたはもう、「速く走るために」走っているのではなく、「自分を大切にするために」走っているのだということ。
仲間と語らいながら、家族に応援されながら、沿道の声援を背に受けながら走るその時間は、何よりも心の栄養になります。年齢を重ねたからこそ味わえる、深くて豊かな走り方があるのです。
調子が出ないときは、思い切って休んでいい。やる気が出ないときは、「それでもやってみようかな」と思える小さなきっかけを探してみましょう。お気に入りのシューズに足を通すだけでも、それはもう“練習の第一歩”です。
高齢ランナーのやる気を復活させる鍵は、「できないこと」に目を向けるのではなく、「まだできること」に目を向けること。
そしてその一歩一歩を、自分自身の“人生の表現”として誇りに思うこと。
マラソンは人生によく似ています。速さを競う時期が過ぎたら、次は風景を味わう旅の時間。
どうか、ゆっくりでもいい。立ち止まってもいい。あなたのペースで、これからも道を楽しんでください。
ところで走る自信を失っている高齢ランナー(自分)がいます。新たな気持ちを取り戻すためのやさしくて芯のある自問自答を、ナラティブストーリーの復活に向けて書いてみました。
自信を失いかけたときに、自分に問いかけたい言葉たち
「もう年だから、走るのは無理かな?」
→ 「年齢を理由にやめるのは、まだ早いんじゃないか?今の自分なりの走り方が、きっとあるはずだろう?」
「前みたいに速く走れないし、意味あるのかな?」
→ 「速さが目的だったっけ?自分が“走っている”という事実だけで、もう十分意味があるんじゃないか?」
「こんなにしんどいのに、また走る必要ある?」
→ 「体はしんどくても、心はどうだ?走ったあと、少しでも“やってよかった”って思えたこと、あったよな?」
「練習が続かない。やる気が出ない。」
→ 「だったらまず、シューズを履くだけでいい。玄関の外に出るだけでもいい。ゼロじゃない、少しだけでも前に進める自分が、ちゃんといるじゃないか。」
「みんなと比べて、自分だけ遅い…」
→ 「競争はもう卒業していい。今は“自分と向き合う時間”を楽しむときじゃないか?」
「こんなペースじゃ大会なんて無理だよ…」
→ 「大会に出ることが目的だったっけ?“挑戦する心”を忘れないことが、いちばん大事だったんじゃないか?」
「もう限界かな…?」
→ 「いや、“今の限界”を受け入れながら進むのが、本当の強さだろう?」
「それでも、まだ走りたいのか?」
→ 「うん。まだ、少しでも“また走れたら”って思ってる。それがすべての始まりじゃないか?」
ハーフ以下の大会は別にして、フルマラソン以上の大会を124回完走(最高100㌔ウルトラやONLINE含め)しました。マラソンの思い込みはとても強いと思っています。諦めきれない今の気持ちがあります。
朝に読むセルフトークにしてみたら― 今日、また一歩を踏み出すために ―
おはよう。今日の体はどう?
少し重たくても、それが「今日のスタート地点」だ。
「走れるかな?」じゃなく、「少しだけ動いてみようか?」でいい。
無理はしない。でも、止まらないでいこう。
小さくても動けば、それは進んでいるってことだ。
走ることは、若さの特権じゃない。
“続けたいと思う心”のある者に与えられた、生き方だ。
今日は、風を感じられるだろうか。
足音が、心のリズムを取り戻してくれるだろうか。
今日の一歩は、昨日よりも大切かもしれない。
さあ、深呼吸をして、シューズを履こう。
それだけでも、もう立派な「前進」だ。
夜に読むセルフトークにしてみたら― 今日も、よくがんばった自分へ ―
おつかれさま。今日の自分を、どう感じてる?
走れた?走れなかった?
関係ないよ。走ろうとした気持ちが、今日の宝物だ。
もし、つらかったなら、それをちゃんと覚えておこう。
無理しなかった自分を、ちゃんと認めてあげよう。
もし、少しでも走れたら、それは本当にすごいことだ。
誰かと比べない。それが、いちばん大切なこと。
年齢を重ねるということは、
「強くなる」のではなく、「深くなる」ことなんだと思う。
今日の自分に、心のなかで言ってみて。
「ありがとう、また明日」と。
そうすれば、明日の自分が、きっと応えてくれる。
元気をもらえたニュースがあります。
御年93歳でパリマラソンを完走! 7時間超えのタイムで、出場大会の歴代最高齢の完走者に
フランス在住チャーリー・バンカレルは55歳でランニングをスタートし、70代でマラソンに初挑戦。
By Laura Ratliff公開日:2023/04/11
ほとんどの人は、90歳を過ぎてランニングシューズを履き、運動をするなんて想像もしていないだろう。しかし、シューズを着用するだけでなく、フルマラソンに挑戦し、さらに完走した90代の強者がいる。
2023年4月2日に行われたパリマラソンに参加したチャーリー・バンカレルさんは今年、93歳を迎えた。フランスのセーラーに住む彼は見事、7時間22分11秒のタイムでフルマラソンを完走し、同大会の完走者では最高齢、90代では3人目となった。50800人のランナーのうち50769位だった。
これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
バンカレルさんがランニングを始めたのは55歳の時で、マラソン大会に初めて参加したのは70歳の時だった。
彼が初参加したマラソン大会は、ボルドーのメドック地区をワインの試飲をしながら走る大会の「マラソン・デュ・メドック」。この時、「ワインの試飲をしなかったのは僕だけだったに違いない」とイギリスの『Daily News』誌にコメントしている。以来、ずっとマラソンにハマっているという彼は、これまでに10回以上もの大会を完走している。
マラソンを完走するために、チャーリーは毎日、最低6マイル(約9.7km)走るのが日課だ。サイクリングと交互に行い、時には15マイル(約24km)以上サイクリングすることもあるという。
「毎年末に、1年で何キロ自転車を漕ぎ、走ったかを書き出す。2016年は1000キロ走り、自転車を3300キロ漕いだ。2017年は770キロと3800キロだった」
5時間以下のタイムでマラソンを完走したことはまだないが、来年もレースに出場する可能性は高いと話し、五輪マラソンのアマチュア版と言われる「Marathon Pour Tous」にも出場予定だそうだ。
彼は今年のパリ・マラソン後に、「私たちはずっと走り続けなければならない。年齢を重ねたら、止まってはいけない。止まったら歳をとってしまう」と、同世代に向けてエールを与えた。
91歳北畑耕一さんパリマラソン完走 ゴール直後に現地テレビ局インタビュー
2025年4月17日
4月13日のパリマラソンでゴール直後に現地テレビ局のインタビューを受ける北畑さん |
4月13日(日)に開催されたパリマラソンで、本誌5月号で増田明美さんと対談した91歳の北畑耕一さんが7時間10分22秒で完走しました。1月のいぶすき菜の花マラソン(鹿児島、7時間21分)に続いて、今年2回目のフルマラソン完走となりました。
「当日の気温は12℃から17℃くらい、曇りがちのラン日和で、多くの仲間が自己ベストを記録しました。私は昨年より10分遅い7時間10分でしたが、1年で10分は年齢の対価?だと思います。昨年に続き参加者の中で最高齢でした」
ゴール直後に、現地テレビ局のインタビューを受けたといい、
「インタビューは突然のことでビックリし、フランス語がうまく言えませんでしたが、年齢とタイムを言うと『上出来だ』と。さらに去年は6時間59分で最高齢だったが、今年はまだわからないと言いました。『来年も参加する予定か』と聞かれたので、『はいそうしたいです』と答えました。国籍も居住地も聞かれず、さすが極めて移民の多い国際都市であることを実感しました」
(編集部注:北畑さんはフランスへの語学留学の経験がある)
2012年(当時78歳)にパリマラソンで初マラソンを完走し、今回6回目の参加だった北畑さんは、パリマラソンの魅力を次のように語ります。
「完走者5万5000人以上の巨大イベントで、見ず知らずのランナーに対する応援が異常とも思えるほど熱気を帯びています。沿道の観客がコースにはみ出して人垣を作り、道幅が2mぐらいになることもしばしばでした。交通整理もなし、フェンスもなし、ひたすらランナーと観客の距離を接近させているのが特徴で、決して悪い気がしません。観光スポットを多く周り、パリ市あげての歓迎が加わり、最高のマラソン大会だと思います」