心の支え合いが地域を強くする

――メンタルヘルス自助グループの静かなぬくもり

誰にも言えない気持ち、抱えたままの不安、それでも毎日をなんとか過ごしている――
そんな心の疲れに、そっと寄り添う場があります。
それが「メンタルヘルス自助グループ」です。

このグループには、医師やカウンセラーがいるわけではありません。
いるのは、同じように悩んできた人、今まさに悩んでいる人、そして、聞く耳を持ってくれる人たちです。

ここでは、うまく話せなくてもいいのです。
涙が出てしまっても、言葉が詰まってしまっても、誰も責めません。
それどころか、「わかるよ」「私もそうだった」という声が、静かに、けれど確かに届きます。

誰かに話すことで、自分の気持ちに気づくことがあります。
誰かの話を聞くことで、「ひとりじゃない」と思えることがあります。

そんなひとつひとつの時間が、心を癒し、少しずつ、また歩き出す力になるのです。
自助グループでの体験がきっかけとなり、その後、専門機関に相談できるようになる人も少なくありません。現実はその逆のケースが多いかもしれませんが。
だからこそ、この場所は、心の回復においてとても大切な「最初の一歩」を支えているのです。

誰かを助けたいという気持ち。
誰かに話を聞いてほしいという気持ち。
その両方が重なったときに生まれる、やさしくて、あたたかい絆があります。

メンタルヘルス自助グループは、心の痛みをわかちあい、希望を育てていく場所。
そしてそれは、地域全体の心を、少しずつ強くしていく力にもなっているのです。

こころが疲れたとき、ひとりで抱え込まないで

――「生活の発見会」という、もうひとつの居場所

心が疲れているのに、それを誰にも言えないまま、がんばり続けてしまう――そんな経験、ありませんか。
誰にも弱さを見せられずに、ただ一日をやり過ごす。
本当は「助けてほしい」と思っているのに、そんな自分を責めてしまう。

私も、かつてそうでした。
人と比べては落ち込み、うまくできない自分を責めて、どこにも行き場がないように感じていました。
そんなとき出会ったのが、「生活の発見会」でした。

この会は、森田療法という、ちょっと不思議だけれど、どこかホッとする考え方をもとに、心の悩みを抱えた人たちが集まる自助グループです。
特別な治療をするわけではありません。
ただ、自分のことを話したり、人の話を聞いたりする――それだけの、あたたかい時間が流れています。

最初は、緊張して何も話せなかった私も、同じように悩んできた人たちの声に、そっと心をゆるめることができました。
「自分だけじゃなかったんだ」と気づいたとき、涙が出るほど、ほっとしたのを覚えています。

この会に正解も、間違いもありません。
話してもいいし、聞いているだけでもいい。
それぞれが、それぞれのペースで、自分を見つめ直す時間を過ごしています。
ここに来るたびに、心の奥に風が通るような、そんな感覚が湧いてくるのです。

そして何よりうれしいのは、誰かの体験が、いつか自分の道しるべになること。
自分の迷いが、誰かの力になること。
そうやって、少しずつ、少しずつ、人は癒されていくのだと思います。

「生活の発見会」は、決して派手な場所ではありません。
でも、ここには確かに、「生きる力」があります。
焦らず、比べず、自分のありのままを受け入れること――それが、どれほど人生をやさしくしてくれるかを、私はここで学びました。

もし今、心のどこかで「つらいな」「しんどいな」と思っているなら、どうか無理をしないでください。
そして、ほんの少しの勇気を持って、「生活の発見会」の扉を開けてみてください。
あなたが安心して呼吸できる場所が、きっとここにあります。