下丸子土曜集談会 全集5巻読書会資料 2017.08 -自己中心的ー
『森田正馬全集第5巻(集団指導)』白揚社版(1989年版)より引用しています。
普通の人は、誰でも、嫌いな人は不快であり、性格の異なる人とはソリが合わない、当然のことである。
これを抑圧しようともどうしようともせずに、ただ我慢して境遇を押しきり、運命を切り開いて行こうとしている。
これに反して、神経質は自己中心的の功利主義から、自分の苦痛を最も少なくして最も大なる幸福を得ようとする工夫から、
楽々と愉快に、人と交際し、何事にも、自分の思う通りにしたいと考えるからであります。
(571頁上段)
神経質は自己中心的であるから、神経質宣伝の必要は知っても、自分の名義を犠牲にしてまでもしようとは思わない。
ついでがあり、損にならなければしよう、くらいの程度である。ここの会長でさえも、自分に疑問があるとか、
自分で来たい時のほかは出席しないようである。
この形外会でも、神経質を広めるために熱心な篤志家は、単に自分の利益ばかりでなく、万障をくり合わせて、
会のために努めて出席するのが必要であろうと思うのである。
神経質の雑誌の購読者は、現在八百余人であるが、多少の新陳代謝があるばかりで、発刊当時も同じ数で少しも発展しない。
雑誌の性質の悪いことは勿論であるが、神経質患者の犠牲心のない事も、発展しない理由である。
(723頁上段)
第62回形外会 昭和11年10月16日
神経質は雑誌『神経質』
出席者63人。高良博士・古閑博士・野村・高浦・堀田・鈴木の諸先生。
倉田百三先生、山野井副会長、水谷・荒木両幹事、黒川陸軍少佐などの出席あり。